とにかく本を読んでいるブログ

読書ブログ。海外コミック、アメコミ、純文学、海外文学、漫画、絵本。

Twitterを始めたらどうも詐欺グループから電話が来た話。

このブログ、ほぼ自分しか見てない様なので、宣伝も兼ねてTwitter初めてみたんですが。

その日の夜に不正アクセスがあり、

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翌々日変な番号から電話が来ました。

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府中には住んでませんし、+881などで始まる番号は衛生電話らしいのです。いわゆるワン切り。高額な電話料金を請求したりするらしいです。

十中八九悪い人たちかなと思ってます。

パスワードは変更し、電話には出ませんでした。Twitterを電話番号で登録したのが不味かったんですかねー。

振り込め詐欺が横行する昨今、ついうっかり電話に出ることもできない、不思議な世の中ですね。

追記:ワン切りはニュースになってました。上記二つの出来事、実は相関ないかもしれないです。
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/17415839/

オーストラリアの漫画はやっぱりオーストラリア全開だ。CAMPBELL WHYTE『HOME TIME』

オーストラリアの漫画家CAMPBELL WHYTEによる『HOME TIME』が面白いのです。キャンベル・ホワイトでしょうか。下校時間、下校時刻と訳すみたいです。

 

大まかなあらすじは、終業式を終えた小学生が、帰り道に川に落ちて

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不思議な妖精の国へ!

という感じ。異世界転生!みたいな今風な感じではなくて、むしろ砂の妖精とかナルニア国シリーズ等の異世界探訪型児童文学にノリは近いです。背表紙には80~90年代のファンタジーがベースにあると書いてあります。

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こんな感じで、一人一人にフォーカスして話が進んでいくんですが、一人ごとに画材ごと絵柄変えてますね。子どもの見えてる世界は違うものですからね。

 

出てくる草木や生物も、オーストラリアベースで新鮮です。異形のものとしてですが、カンガルーもいるみたい。

とてもいいところで一巻は終わります。どうも暗い雰囲気が漂っているので、『ぼくらの』になってしまうか、『銀河鉄道の夜』的に終わるのか、気になってます。

登場人物の日記、ポートレートや設定画が話の間に描いてあり、物語の補完になっています。私は裏設定みたいなのが好きなので、こういうのに弱いのです。

奥付には、オーストラリアの芸術に対する助成金で製作した旨が書かれており、スペシャルサンクスにはオーストラリア政府が。気合い入ってますな。

二巻は2020年1月だそう。今から楽しみです。

世界SF大賞傑作選

世界SF大賞傑作選1~8全7巻を読破しました!
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1~8なのに3巻がありません。何故?
全部買ったら書いてあるかなと、買い揃えたのに書いてありませんでした。気になる。今頃亜空間を漂っているか、異星人の聖書になっているか、全8巻なのに3巻しか出なかったパラレルワールドがあると思うしかありませんね!
一応収録予定作は後書きに書いてあるので、いずれ揃えます。
高騰しているアーシュラ・K・ル・グゥインの『世界の合言葉は森』が読みたかったんですよ。それだけじゃない、ド級の名作の数々でしたけどね。どれ読んでもハズレ無し。この時期のSFはなんというか活気、熱気が違いますね。
アシモフの紹介が軽妙で最高です。

次はエリスンの危険なヴィジョンを揃えてみようかな。まあ最近発売されたんで、それほど急いでませんがね。

レイ・ケネディー Ray Kennedy って何者?

たまたまジャケ買いして気に入ってるCDがあります。
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アイリッシュフォークのライブ盤で、大体有名な曲ばかり歌ってるかんじのCDです。
CDに表記されてるWild Irish Roverで検索すると、ケルトの雄、ダブリナーズが出てきますが、アイリッシュって、喉が酒焼けしてないと歌えないのかってくらい基本ダミ声。
それよりもメインボーカルが、澄んだ声で朗々と歌ってるのがいいなぁと思っているのです。
で、CDを取り込むと歌手名が出るんですが、歌っているのはRay Kennedyという名前の人。

これが、いくらググッても出てこない。
というのも、同じ名前の歌手が他に2人いるんですね。

まず日本語Wikipediaのレイケネディー。
ja.wikipedia.org

次に英語版他のRay Kennedy
en.wikipedia.org

youtubeで検索しても、基本この二人が出てきます。
どちらもアメリカンカントリーな人で、既に紛らわしいんですが、残念ながら私の探しているのはこの2人ではありませんでした。

70年代から80年代にかけて活躍していた(らしい)、Ray Kennedy&platformこそ私の持つCDその人。なんとレコード数枚とCDに至ってはこのライブ盤と、Irish Drinking songsというもう1枚だけっぽい。…なんで買ったんだろ。
www.irishrock.org
このサイトが詳しいんですが、アイリッシュバンドってこんなにいるんですね。わが身の不明を恥じるばかりです。
ネット上の音源は、CDの試し聴き位しかないんですが、なかなかいいバンドなんですよ。
アーティストってのは名前を凡庸なものにすると、時代に埋もれるよという話でした。

アート・スピーゲルマン『マウス』と併せて読みたい

マウスです。リーマンギャンブラーではありません。

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もともと晶文社で全2冊で出てました。
大体平坦な内容なんですよ。あらすじの通り話は進むし、暗いし辛いし、本当の事なんだろうなーとは思うけどやり切れなくなるし。
でも、読んだ後に誰かと話がしたくなり、読んだことなければお勧めしたくなる本でもあります。海外コミックのオールタイムベスト10とかやってる所には大体入ってます。

で、読んだ後に読んだ方がいい本をすこし。
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サルトルユダヤ人』
20世紀の哲学者、実存主義ジャン・ポール・サルトルです。
原題『Réflexions sur la question juive』直訳でユダヤ人問題に関する考察です。1946年に発行された本ですが、書かれている内容は戦時中、1940年頃の話とかです。
これはユダヤ人を差別する人の心理状況を克明に書いた本で、ナショナリズムに染まりやすい現代において、刺さるところ、学ぶべき事の多い本でもあります。

とりあえずこれ、2冊ワンセットのようなものに感じます。『マウス』で感じたモヤモヤは、『ユダヤ人』で補完出来ると思います。

あとなんでしょうか。最近読んだんですが、プリーモ・レーヴィ『これが人間か』がアウシュヴィッツの実情を写したものとしていいと思います。
トニモリスンの『青い眼がほしい』とか一連の作品でもいいかもしれません。
コクトー『阿片』にも、差別的発言を強いられる看護婦の断章があったと思います。
日本でいったら渡辺一夫の評論、『狂気について』が心持ちをどう持つべきか教えてくれそうです。

とにかく、書かなければならない使命感の強い本は、それだけ力があるということです。こうした本は、知ってしまった以上、読まなきゃ前に進めない気すらしてきて、読みたい本のリストはは増える一方になるのでした。

岸政彦からロレンスへ

岸政彦の『断片的なものの社会学』がとてもよかったので、先生のTwitterでオススメしてた社会学の本、『ディスタンクシオン』を少し前に借りて読みました。
階層化した社会では、文化、風俗、趣味嗜好もまた階層化していく、という本で、2巻なんかはまるで自分の事が書いてあるような、凄まじい本でした。
格差の拡大とは単純に貧富の拡大だけではなく、知識格差としても現れるということでしょうか。

気になったのは「独学者」の項目。フランスはバカロレアという統一試験があるので、それで高等教育からあぶれても、熱冷めやらず学問してる人、というニュアンスでしょうか。
サルトルの『嘔吐』にも出てきましたね、独学者。フランスでは一般的な単語なんでしょうか。体系的な学問として知識を得ていないので、常に不安で時にやり過ぎる、みたいに書いてありました。
正直、私のことをどこで知った!と声をだしそうになりましたよ。79年の本なんで、私のほうが後発品なんですけどね。


で、『ディスタンクシオン』の中に、D.H.ロレンスの木馬の勝者という短編が紹介してあったので読んでみたんですが、これもまたすこぶる面白い本でした。
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人生は貧しい者には辛いものかもしれないが、それでも何とか生きている人々の短編集。なんと明るく、血のかよった文章か!私自身の生活水準が近いせいなのか、色あせて見えません。
チャタレイ夫人の恋人で有名な人ですが、なんだか見方が変わりました。エロい評価をされてる人って、ちゃんと読んだらとてもいいもんですね。ナボコフとか。

…でも、本当に紹介してあったんだろうか。積ん読が長すぎて、図書館で借りただけのディスタンクシオンの記憶が曖昧になっております。21世紀の資本とか、他の本だった気もしてきました。
とりあえず、次は岸政彦の図書室が良さげなんですが、芥川賞取ったら文藝春秋で選評込みで読みたいし、と、まだ手を出していないのです。

尾崎一雄『暢気眼鏡』

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先日読んだので。どうしても昔の作品は調べないとわからないところがあります。

 

・マネキン倶楽部

conex-eco.co.jp

 

ホリゾンタル

blog.livedoor.jp

 

それにしてもこの主人公はクズですね。昭和初期の文士といえば少なからず放蕩気味なところはあるもんでしょうが…。

ここまで突き抜けてひどくないと、時代を越えられないということかもしれません。整った文章で非常に読みやすいんですが。