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岸政彦からロレンスへ

岸政彦の『断片的なものの社会学』がとてもよかったので、先生のTwitterでオススメしてた社会学の本、『ディスタンクシオン』を少し前に借りて読みました。
階層化した社会では、文化、風俗、趣味嗜好もまた階層化していく、という本で、2巻なんかはまるで自分の事が書いてあるような、凄まじい本でした。
格差の拡大とは単純に貧富の拡大だけではなく、知識格差としても現れるということでしょうか。

気になったのは「独学者」の項目。フランスはバカロレアという統一試験があるので、それで高等教育からあぶれても、熱冷めやらず学問してる人、というニュアンスでしょうか。
サルトルの『嘔吐』にも出てきましたね、独学者。フランスでは一般的な単語なんでしょうか。体系的な学問として知識を得ていないので、常に不安で時にやり過ぎる、みたいに書いてありました。
正直、私のことをどこで知った!と声をだしそうになりましたよ。79年の本なんで、私のほうが後発品なんですけどね。


で、『ディスタンクシオン』の中に、D.H.ロレンスの木馬の勝者という短編が紹介してあったので読んでみたんですが、これもまたすこぶる面白い本でした。
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人生は貧しい者には辛いものかもしれないが、それでも何とか生きている人々の短編集。なんと明るく、血のかよった文章か!私自身の生活水準が近いせいなのか、色あせて見えません。
チャタレイ夫人の恋人で有名な人ですが、なんだか見方が変わりました。エロい評価をされてる人って、ちゃんと読んだらとてもいいもんですね。ナボコフとか。

…でも、本当に紹介してあったんだろうか。積ん読が長すぎて、図書館で借りただけのディスタンクシオンの記憶が曖昧になっております。21世紀の資本とか、他の本だった気もしてきました。
とりあえず、次は岸政彦の図書室が良さげなんですが、芥川賞取ったら文藝春秋で選評込みで読みたいし、と、まだ手を出していないのです。